建築家石出和博が心で見た日本の美しさを写真とエッセイでつづった日本のかたちとこころを癒す叙情詩・こころ紀行



ハウスドクター
ある建築雑誌に、ハウスドクター診察室という家の悩み相談コーナーを担当して15年がすぎた。
連載なので、仕事の合い間に悩みの手紙をいただいた家に出かけて行って、問題点や原因を調べ治療カルテを書く、いわば家の病気を治すお医者さん役をやっているのだが、これがなかなか骨がおれる。
とんでもない無責任な業者がいるかと思うと、情報過多なアレルギー症状の建主もいる。住宅展示場をすべて廻り、営業マン攻勢ですっかりつかれてしまい、いざ家が完成するころには不満とあきらめムードでノイローゼに近い状態という話を聞かされて気の毒に思う。
家づくりは、ほんとうは人生のうちでもっとも大きな楽しい遊びをすることであると思うのに、大半の人は、その遊びを放棄してしまい、車でも買うような気持ちでフル装備付きのインスタントすまいを買ってしまう。
何とか工法というものがたくさんあって、私だってなにがなんだかわからないが、一つ言えることは、くらし方や生き方に芯棒があって、それを大切にしている人なら、自分だけの空間や審美眼を信じて、一緒に真剣に遊んでくれる設計家か、業者を捜すことをはじめてみてはいかがだろうか。




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