建築家石出和博が心で見た日本の美しさを写真とエッセイでつづった日本のかたちとこころを癒す叙情詩・こころ紀行



右脳と左脳
年のせいとは言いたくないが、もの覚えが恐ろしいほど悪くなった。
たった今聞いた人の名前もスゥーッと頭から消えていくのである。
もともと記憶力の良い方ではなかったから気にとめずにいたのだが、先日ごく親しい人の名前を間違って呼んでしまい気まずい思いをしてしまった。
それからというもの、これではいけないと記憶力を高める本とか、頭が良くなる本とかを性懲りもなく買いこんできた。
それで気がついたのだが、人の頭の中には二人の自分がいて、右脳が先に働き、次に左脳が整理する。二つの脳は全く別の思考回路になっていて、右脳はイメージで考え、左脳は言葉を通じて記憶するのだそうだ。
ところで日本人は明治以来、左脳ばかりを酷使する教育方法が行なわれてきたため右脳の創造力を妨げ、前例にとらわれ固定観念で頭脳の働きを縛ってしまっているというのだ。
どうりで変化が必要な時代に口では変化変化と言いながら、心構えができていないのはそのせいか。
右脳は感覚や創造力を司り、人生経験が多いほど発揮できるというのだから、これからは記憶力はさておいて、思いつきの第六感で勝負しようとえらく納得したのである。




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