建築家石出和博が心で見た日本の美しさを写真とエッセイでつづった日本のかたちとこころを癒す叙情詩・こころ紀行



頑張る人
昨年の暮れ、何人かの教え子から転職の相談を受けた。
バブル後、就職率半分という時期に、どこへでも入れればいいという思いで就職した若者達である。
先の見える単純労働に嫌気がさしたと言うのだが、やっと自分とは何か、自分自身を見つめることができる年齢になったんだと励ました。
物質的な豊かさがあたりまえに育った若者たちは精神的な訓練を受けないまま、何に頑張ればいいのか、生きる目標を見つけられないでいる。大人達だってそうだろうと言ってしまえばそれまでだが、それにしても『頑張らない新しいタイプの日本人が増えることによって働き過ぎや、過度の競争の緩和が期待できるのではないか。頑張らない君が日本を変える』という正月の某新聞の社説にはおどろいた。マスコミや報道人の薄っぺらい世界感にはあきれてしまうとしか言いようがない。
頑張らなかったら夢はつかめないんだ。
夢とは自分自身の人生をつかむことなんだ。
私もそうだったが、二十五歳を過ぎてはじめて人生一歳、三十歳ぐらいになってようやく自分の一生の仕事を見つけるぐらいの気持ちで勉強し、ものごとを見るといいよ。
頑張っている人達の話を聞いて、自分の可能性を信じるんだ。
きっとそういう人材をさがしている人達に出会えるはずだから。
ぶらさがっているだけの社員を必要としない社会にこれからなっていくんだから・・・
年賀状はそんな思いの応援歌になっていた。




前のページ 19 > 20 > 21 > 22 > 23 次のページ