建築家石出和博が心で見た日本の美しさを写真とエッセイでつづった日本のかたちとこころを癒す叙情詩・こころ紀行



才能
才能がある人間がいる。
建築の設計などをやっていると。さも才能の固まりみたいな仕事をしているように見えるが、実は才能三割、あとの七割は持ち味と考えている。
才能にはいろいろな形があって、点数などでは決められないがハンディと本人が思いこんでいる部分が持ち味だったりする。学校でデザインなどを教えていた時、「私には才能がありますか」とよく聞かれた。
学生達は周りの仲間の作品を見ているうちに、自信を無くしてしまうことはよくあることで、学校時代に課題がそつなくできる人が時として、持ち味が出せる仕事人にならない場合が多いものだ。本当に才能に恵まれたければ、自分がおもしろいものが一番で、どう頑張ってみても興味がわかず、とことんやってみて、ほんとうのおもしろさがわからなかったら、やはり才能がないと考えてみたほうがよいのだろう。けっきょく才能があるからすきなのか、すきだから才能を発揮するのか、どちらかなのだろうと思う。
しかし、どんな才能の種も、一時地面に蒔かれた土中の暗黒の中に閉じこめられなくては芽が出ない事を思うべきだ。
他人を羨む必要はない、自分の持ち味を出せればそれでいい、そこからいろいろな芽が出て、人々との関りの中でいろいろなチャンスがあたえられる。
本当に自分を楽しんで生きている人は、他人が見てもおもしろいはずだから。




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