建築家石出和博が心で見た日本の美しさを写真とエッセイでつづった日本のかたちとこころを癒す叙情詩・こころ紀行



社是

「人を幸せにする人が幸せになる。」
おこがましいが、私が主宰している会社の社是である。この言葉を使うのに二十年かかった。  

サラリーマン時代、人間はどんな生き方をすればいいのだろうかと悩み苦しみ、自分の生きる道を懸命に捜した時期、そして三十歳近くになって建築に出会い、その世界に飛び込んでいったものだが、いまだに人間にとって真実の道とは何だろうかと、それを追い求めている様な気がする。

さまざまな人生の局面を目にし、「この道さえ歩いて行けば絶対に間違いのない道とはどんなものか」と問われて、「つまづいたり転んだりするほうが自然なんだ、何もしなければ、転んだり倒れたりなどしないんだから。」といつも会社のみんなに言っているのですが、失敗を自分のこととしなければ、何度転んでも失敗から学ぶことなどできないものです。

朝さわやかに目覚め、おいしい朝食を摂り、ああ幸せだなあと感じながら元気に会社に出る、けれども会社ではなかなか仕事がうまくいかず、イライラがつのり夕方にはすっかり落ち込んで家路に着いたりします。

幸せとか不幸とかはいつも表裏で、それに打ち勝つ気持(こころ)と、その中に喜びを感じる心のあり様、失敗は自分のこととし、幸せは人のためにする、その信念が人生を創り事業を創る、そんな思いを社是にしたものなのです。





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